霊感があるかどうかわかるテストがあったらやる？

名古屋の居酒屋でコンパをやっていた時に霊感のある子が、こんな話をし始めたんです。



霊感テストというのがある。



それはその人が霊感があるかどうかを審査するテストだそうで、どんなものかというと、

まず目を閉じてみて自分の生まれ育った家を思い浮かべる。

そして鍵を開けて、ドアを開けて、中に入っていく。

家にある窓を全て開けていく。

全部開け終わったら、今開けてきた窓を全て閉じていく。

一つずつ閉めていったら、また玄関に戻ってドアを閉める。



そこまでの過程の中で誰か人とすれ違った場合……

（このすれ違う人は知っている人でも、知らない人でも構いません。 人間ないし生き物だったら何でもいいです）

何かとすれ違った人は霊感があるそうなんです。



コンパの中でそんな話が出てきて、うわー怖いねって皆で盛り上がったそうです。

そんな中でそのコンパに参加していた女の子、この人を仮にAさんとしましょう。

このAさんが家に帰って、コンパで聞いたこの霊感テストを無意識にやっちゃったそうなんです。



Aさんは大学で名古屋に出てきていて、ご実家は四国か何処かだったと思います。

それで目を閉じて、ご実家の事を思い浮かべてみた。

ドアを開けて、家の中に入っていく。

窓を一つずつ開けて、全て開け終わると一つずつ閉じていく。

そして玄関に戻ろうとしたら、丁度階段の隣、その隅のほうに影が出来ているんです。

その階段の隅の影のとこから、急に男性が出てきてAさんの足をぐっと掴んだ。

そして呻くような声で、



「ヴぉってー、ヴぉってー」



そういうことをずっと言うわけです。

知らない男性がいきなり出てきて、自分の足を掴んで「ヴぉってー、ヴぉってー」と意味のわからないことを言う。

Aさんが怖くなって逃げ出そうとしたら、その瞬間に目を覚ましたんです。



（あれ、今のはなんだったんだろう・・・私はもしかしたら、霊感があるのかな？）



ドキドキしていたら急に携帯電話が鳴って、びっくりして出てみると実家のお母さんからです。

たった今遠い親戚のおじさんが亡くなったと言うんです。

それでAさんはピンときたわけですよ。

こういうのって虫の知らせって言うんじゃないかなと。



嫌な気持ちを抱えながら実家に帰って、葬式に参列したんです。

結構遠い親戚のおじさんで、Aさんが小さな頃に何度か会ったことがあったそうなんですが、記憶にも無い程の関係なんです。

でも遺影を見てびっくりしたんです。



そうなんです、それはAさんがあの霊感テストの中で見た、あの足を掴んでいた男性なんです。

恐らく「ヴぉってー」というのはおじさんからの何かのメッセージだったんじゃないかなと思い、こんな不思議な体験をしたんだよとAさんが家族に話すと、お母さんが教えてくれたんです。

Aさんは小さな頃からバレエをしていて、そのバレエで履くトゥ・シューズをプレゼントしてくれたのはそのおじさんだと。

だから「ヴぉってー」というのは恐らく「踊ってー」と言っていたんじゃないかと。



おじさんにとったら心残りだったんでしょうね。

小さな頃にあげたトゥ・シューズで踊っているAさんの姿を見たかったんじゃないかなと。

そんな話をお母さんから聞いたんです。

それでAさんもおじさんの前で踊ってあげれなかったのは、何だか残念なことだなと思ったそうです。

そんな話をしてその日は終わったそうです。



Aさんが名古屋に戻ってきて、一人暮らしの部屋で過ごして、夜も遅くなってさあ寝ようとベッドに横になった時です。

そこで突然金縛りにあったそうです。

Aさんは何も思っていないのに、ふいに視界の中に実家が現れた。

そして勝手に家のドアを開けて、部屋の中にスタスタと入っていってしまったそうです。



（あ、やばい。このまま進むと、この前におじさんが出てきてしまう・・・）



そう思っているんですが、自分はどんどんと進んでいってしまう。

そうしているうちに、バッと目の前にこの間と同じようにおじさんが出てきた。

そしてまたAさんの足を掴んで



「ヴぉってー、ヴぉってー」



と言うんです。

でもこの時のAさんは意外と冷静だったんです。

確かにびっくりはしたんですが、おじさんの目的は分かっています。

ここはゆっくりとおじさんに説明をすれば分かってもらえるんじゃないかと思っていました。



「おじさんごめんね、私は踊ることが出来ないの。

　私はもうバレエをやめているし、それに、おじさんはもう亡くなっているの。

　だからお願いだからもう成仏してちょうだい」



そうやって優しく心の中で語りかけた。

でもおじさんは全然やめないんです。



「ヴぉってー、ヴぉってー」



おじさんの声はどんどん大きくなっていく。

でもだんだん大きくなる声を聞いていると、おじさんは「踊って」なんて言ってなかったんです。



「ヴぉってー

あぉってー

かあってー

かわってー

代わってー










俺の代わりにお前が死んで！」